東金町
はんだ
接骨院

四十肩・五十肩

五十肩と言われたけれど、
それは本当に五十肩なのでしょうか?

1.四十肩・五十肩とは

1.四十肩・五十肩とは

「肩が痛くて上がらない」「腕を後ろに持っていけない」などの症状で整形外科や接骨院などの医療機関を受診して「五十肩」と言われた方は多いと思います。
しかし「五十肩」とはどのような病気なのでしょうか?このペ-ジでは「五十肩」について「どのような病気なのか?」「どのような治療が必要か?」を説明していきます。
(ちなみに「四十肩」と「五十肩」の違いは40歳代で発症すれば「四十肩」、50歳以上の年齢で発症すれば「五十肩」と呼ばれるだけで違いはありません。以下「五十肩」という呼称で統一します。)

2.「五十肩」とはどのような病気(傷病)なのか?

2.「五十肩」とはどのような病気(傷病)なのか?

「五十肩」には2つ意味がある⇒広義の「五十肩」と狭義の「五十肩」

50歳以上の方で肩が痛くて上がらないと「五十肩」と診断されますが、「五十肩」というのは俗称でその意味には色々な肩の傷病が含まれているようです。

〈主な肩関節の傷病〉=「五十肩」とされる肩の傷病
①腱板(棘上筋)損傷
②肩峰下滑液包炎
③上腕二頭筋長頭腱炎(損傷)
④烏口肩峰靭帯炎
⑤凍結肩(いわゆる五十肩)
⑥石灰沈着性腱板炎

多くの医療機関で①~⑤の肩の傷病全てを「五十肩」としているようですが、①~④の肩の傷病と⑤「凍結肩」では発症原因が異なります。①~④の傷病は肩に繰り返し(機械的)刺激が加わることによって起こります。これは「使い過ぎ」が原因です。

一方「凍結肩」は原因が良く分かっていません。したがって肩の専門の先生方は⑤「凍結肩」のみを「五十肩」として他の肩の傷病と分けて考えます。
つまり、広義の「五十肩」は上記①~⑤の傷病を意味し、狭義の「五十肩」は「凍結肩」を意味します。以下「五十肩」=「凍結肩」とします。

※⑥石灰沈着性腱板炎は他の肩の傷病と比べて痛みが激しく、レントゲン検査で鑑別ができるので(広義の)「五十肩」とは診断されることはあまりないようです。

凍結肩(=狭義の「五十肩」)とは?

1.定義

1.定義

「凍結肩」とは肩関節を包む袋である「関節包」が硬くなる(線維化)または短縮することにより肩の動く範囲(関節可動域)が狭くなる病気です。

※「凍結肩」の定義はもっと複雑で専門の先生の間でも定義は微妙に異なります。ここでは私なりに一番分かりやすく定義しました。

2.症状

2.症状

①運動痛:肩を動かすと強み痛みを感じます。特に腕を上げた時(挙上)と腕を外側から後ろに持っていく時(外旋)に強い痛みがでます。
②安静時痛:肩を動かさなくても“ズキズキ”とした痛みがでます。
③夜間痛:肩が痛くて夜眠れないことがあります。
→この「安静時痛」と「夜間痛」が他の肩の傷病との大きな違いです。

④関節可動域制限:肩の動く範囲が狭くなります。特に肩の挙上と外旋ができなくなります。

3.病期(ステ-ジ)

3.病期(ステ-ジ)

「凍結肩」は3つの病期(ステ-ジ)に分けられます。

①痙縮期:痛みが強く、急激に関節可動域も狭くなります。
②拘縮期:痛みは少しずつ落ち着きますが、関節可動域は狭いまま改善されません。
③回復期:痛みはほぼなくなり、関節可動域も少しずつ広くなります。

鑑別

1.鑑別診断の重要性

1.鑑別診断の重要性

正しい鑑別診断をしてこそ正しい治療が行える。
当院では「凍結肩」の治療にあたる前に「本当に凍結肩なのか?」鑑別することが大変重要だと考えます。なぜなら正しい鑑別診断ができていないと正しい治療はできないからです。これは当然のことに思います、実際には肩が痛くて上がらない50歳代以上の方が医療機関を受診すると取り敢えず「五十肩」と診断されるようです。しかし前述の通り広義の「五十肩」とされる肩の傷病は「凍結肩」以外に複数あり、それぞれ病態や発症原因が異なります。したがって治療も異なります。それら肩の傷病全て同じと考えて画一的に治療しても症状は改善しません。

2.鑑別診断のポイント

1.鑑別診断のポイント

他の肩の傷病と「凍結肩」を鑑別するポイントは3つあります。

①安静時痛(=肩を動かさず、じっとしていての痛み)
②夜間痛(=夜寝ていての痛み)
③外旋時痛(=腕を外側から後ろに持っていく時の痛み)。

他にも理学検査やエコ-検査を行い、それらを参考にして鑑別しています

治療

1.痙縮期

1.痙縮期

痛みの緩和を第一に考えます。無理に肩を動かしてはいけません。

日常動作指導:出来るだけ痛みが出ないような日常の動作を指導します。
就寝時指導:夜間痛が出ないような寝かたを指導します。
固定:痛みが酷い場合は包帯や装具などで固定をしてもらいます。

2.拘縮期

2.拘縮期

痛みが酷くならない程度に少しずつ肩を動かします。

①手技療法:関節モビライゼ-ションを中心とした手技療法を行います。 ②運動療法:振り子運動など症状をみながら運動療法を始めます。

3.回復期

3.回復期

積極的に運動療法を行い、肩の関節可動域を広げます。

①ストレッチ
②壁押し体操

4.まとめ

4.まとめ

「痛くても我慢して動かす」ことは禁忌です。
「五十肩(凍結肩)は痛くても動かしたほうが良い」と言われているようですが、これは大きな間違いです。痙縮期に無理に肩を動かすのは最もやってはいけないことです。この時期に無理に肩を動かすと炎症が酷くなり、回復を遅らせます。
また、拘縮期でも無理に肩を動かせば炎症を再び起こして、痙縮期に戻り回復を遅らせます。

「凍結肩」を治すのに大切なことは正しい「鑑別診断」と「病期の評価」

残念ながら「凍結肩」が治るまでに早くても半年かかります。1~2年かかる例も多いようです。しかしここで皆さんにお伝えしたいのは「凍結肩は必ず治るので焦らずに治療する」ということです。

「凍結肩」には3つの病期があり、その病期を一つ一つ辿らなければ治りません。
痙縮期で痛みが強い時に無理に肩を動かす、逆に拘縮期や回復期に固定するなど、病期を考えずに治療することは症状を悪化させるだけです。

現在、インタ-ネットで「五十肩」と検索すると「五十肩を治す方法」「五十肩を治す体操・ストレッチ」などが紹介されますし、「五十肩の治し方」といった本も出版されています。また「五十肩に特化した治療院」などもあるようです。

しかし「凍結肩」(=五十肩)の全ての治療は「正しい鑑別診断がされている」「正しい病期が評価されている」ことを前提に行われなければなりせん。それらが正しくできていないのに治療をしても逆に症状を悪化させることになりかねません。

正しい「鑑別診断」と「病期の評価」が最も大切で、それに則した治療こそが「凍結肩」(=「五十肩」)を治す一番の近道なのです。

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